~身体のバランスを整えて妊娠しやすい身体へ~

 当院には、妊娠を希望されて施術を受けるご夫婦も多くいらっしゃいます。
今では一般的になった「妊活」という言葉ですが、自然妊娠を目指している方、病院でのタイミング法から、一般不妊治療、高度不妊治療、先進医療まで、その幅はとても広く、そのいろいろな段階の方が、はり灸で ”妊娠しやすいからだづくり” をしています。

 はり灸は、病院の不妊治療とは異なります。はり灸では、病院での難しい治療が良い結果になるように、そのベースとなる体づくりをします。はり灸だけで自然妊娠を目指していらっしゃる方ももちろんいらっしゃいますが、やはり多くの方は病院での不妊治療と併用されています。

 不妊の原因は原因不明といわれている方も多く、鍼灸師の私たちからみると、そういう方は、冷えていたり、滞っていたり、硬くなっていたり、ストレスで緊張していたり・・と感じます。はり灸では、そのような身体を、血流を良くし、あたたかく、柔らかく、リラックスした、妊娠しやすい健康的なからだへと整えていきます。

 はり灸治療では、問診、脈診や腹診などにより、身体の発信する様々な情報を得て、身体全体のバランスを総合的に判断します。健康とは、体全体のバランスが整っていることであり、不妊治療の根本も身体全体のバランスを整え、「健康で妊娠しやすい身体」を目指すことです。不妊治療中の方も、そうでない方も、まずは「こころも・からだも元気で健康なからだづくり」が根本であり、とても重要です。

私も、不妊治療の経験者です。

 実は鍼灸師である私自身も、不妊治療の経験者です。鍼灸はもちろん、漢方を飲んだり、運動をしたり、食事に気を使ったり、自分でできることは色々としましたが、なかなか授かりませんでした。結果的には、2つのクリニックに通って約2年後、妊活を始めてからは3年後に、初めて子供を授かることができました。授かってからも、このまま元気に大きくなってくれるのか・・期待と不安の日々は長かったです。ようやく初めて赤ちゃんの産声を聞いた時には、本当にとても嬉しかったです。同じように、子供が欲しいと妊活・不妊治療を頑張っている方、一人でも多くの方に、そんな日を迎えていただきたい。そう思いながら、日々、はり灸施術をしています。

 妊活を始めると1年、2年があっという間に過ぎていきます。年齢を重ねることへの不安や、毎月、期待と期待外れのジェットコースターのような気持ちを繰り返していくことで、子供が欲しいと思いだしてからの期間が長くなればなるほど、まだお若い方でも、そうでない方も同じように気持ちが追いつめられてしまいがちです。一人で抱えず、はり灸も頼ってみてほしいなと思っています。ぜひご相談ください。

妊活を考え始めたら・・からだと向き合ってみよう

「子供がほしいな」と思い始めたころ、ぜひ初めてほしいのが、あらためて「健康なからだづくり」です。子供がほしいなと思う頃の女性は、とても多忙な年齢です。朝早くから夜遅くまで、一生懸命働いていたり、何かに夢中になっていたり。若さも体力もあり、無理もできてしまうので、自分で思っているよりも、からだを酷使している方も多いのです。子供が欲しいと思ったらすぐにできると思っていたのに・・なんていうことも。今一度、自分のからだと向き合って、からだづくりをしてみてほしいです。ですが、何でも一生懸命になりすぎては疲れてしまうので、頑張りすぎず、リラックスして。日々の「食事・睡眠・運動」などを少しづつ見直してみることから、からだと向き合ってみてください。無理せず、心地よい生活をこころがけることで、からだは少しずつ変わってきます。

週1回のはり灸でからだづくり

 はり灸でのからだづくりは、生理周期や、タイミング、病院での治療、一人一人の体調などに合わせた施術をしていきます。元気なからだは妊娠の基本ベースです。生理不順や、生理痛、肩こり、腰痛、頭痛など、からだの不調がある方は、そのケアをしていきます。不調のない方は、より血流が良く、リラックスした、良い状態をキープできるように整えていきましょう。施術頻度は、週1回が基本、おすすめです。それより少なくても、効果がないことはありませんが、やはり、からだが変わってくるのには時間がかかります。より効果的な施術とするには、週一回は施術できるのがベストだと考えています。

~私の場合~ ①一般不妊治療(タイミング法・人工授精)

 初めて行った病院では、一般不妊治療を約1年ほど経験しました。毎月期待するのですが、こんなになかなかできないんだ・・・。と痛感しました。病院以外でも自分で々と調べたりすると、どんどんやることが増えてしまいましたが、仕事をしながら、できることをやりました。

🌸子供がほしいなと考え始めたころの、はり灸とからだづくり🌸
①毎週1回のはり灸施術で、妊娠に向けた体づくり
②有酸素運動の散歩(可能な日は毎日、夕食後に散歩しました)
③漢方を始めました 

採卵と鍼灸 ~高度不妊治療へステップアップ~

 一般不妊治療での妊娠が難しいとなったとき、次のステップとなるのが高度不妊治療です。高度不妊治療とは、体外受精・顕微授精などのことです。2022年4月から、人工授精や体外受精などの治療が公的医療保険の対象となり、経済的負担が軽減され、高度不妊治療を選択する方も多くなっているようです。はり灸では、高度不妊治療にステップアップしてもベースは今までと同じく「妊娠に向けた、健康なからだづくり」です。それに加えて、採卵に向けての施術と、採卵後のリカバリーの施術、移植後の安産の施術を行っていきます。

~私の場合~ ② 高度不妊治療 (1)採卵

 私は、高度不妊治療にステップアップする段階で、まず、最初の検査の段階で見つかっていた「子宮内膜症」を手術しようと思い、手術も行っている病院に転院しました。子宮内膜症が直接的に不妊の原因になるわけではないそうなのですが、やはり、いままで駄目だったので、私の状態をもっとよくしたい!と思い、手術をすることにしました。

 転院先の病院では、手術をすると、子宮内膜症の状態によっては、採卵できるくらいまで卵巣の温存ができるかわからないので、手術前に採卵を何度も繰り返し、複数の胚盤胞を凍結保存することになりました。私はAMHの値も低く、一回の採卵でたくさんの卵子を採卵することができなかったので合計7回の採卵を行い、採卵だけで約8か月もかかりました。状態が整わず採卵が中止になった時も、胚盤胞にならないこともありましたが、救いだったのは、ほとんどの回で1つは胚盤胞の保存ができたことです。

 一度の採卵では、毎回2個くらいしか採卵できかったのですが、それでもほとんどの回で1つは胚盤胞の保存ができました。少ないなりにもなんとか。という感じで、これにはからだづくりの効果・はり灸の効果もあったのではないかと思っています。また、最後の8回目の採卵では、4個の採卵ができて、さらにその4つすべてが胚盤胞になり、はじめての4AAグレードの胚盤胞となりました。はじめからこのペースなら、8か月もかからなかったのに・・・とも思いましたが、鍼灸や有酸素運動の散歩などいろいろやった効果がようやく花開いたような気がしました。妊娠を考えるまでは、朝早くから夜遅くまで忙しくしていたので、思っているよりも疲弊していたのだと思います。体づくりにも時間がかかったんだなと感じました。

🌸 採卵周期の鍼灸 🌸
①体づくりに毎週1回の施術、
②採卵の前(できれば当日、無理なら前日)をしていました。
採卵においては、採卵の前に鍼灸をすると、血流の良い状態で移植にのぞめます。
③漢方(継続)
④プラセンタもを始めました
🌳 子宮内膜症 🌳
子宮内膜症は、生理のある女性に比較的多く見られる疾患です。子宮内膜の組織(本来は子宮の内側にある)が、子宮以外の場所にできてしまう病気です。東洋医学では、子宮内膜症のある方は「おけつ」体質と言って、イメージとしてはドロドロ血液になっていると考えます。おけつ体質の方は、エネルギッシュで体力もあるのですが、エネルギーを使うとき、からだに熱が発生しますが、その熱が体の中でオーバーヒートしていて、血の中に入り、血がドロドロになり血流が悪くなっていると考えます。はり灸で子宮内膜症を治すことはできませんが、熱が血の中に入りにくくなるように、オーバーヒートした熱を冷まし、巡りの良い身体に整え、体質を改善していきます。

移植と鍼灸

 採卵が終わって、その周期はピルをのみリセットして、次の生理を待ち、その周期に移植。という流れが、採卵から移植への多くの流れだと思います。はり灸では、移植の前日もしくは当日に施術できると、血流の良い状態で移植に望めるので、おすすめしています。移植後は、いつもの週1回の施術にて、安産のはり灸・妊婦さんにするようなやさしい施術をしていきます。おそらく移植の1週間後には病院で、移植の結果がわかると思います。妊娠反応が陽性でしたら、はり灸は卒業していただいて大丈夫です。何か症状のある方は続けていただいても大丈夫ですが、妊娠に関しては、「ちゃんと妊娠できるからだになっているよ」ということですので、自信をもって妊娠生活を過ごしてください。

 残念ながら陰性だった場合でも、はり灸では、ここからがまた、しっかりからだづくりをできるタイミングです。移植の後は、妊婦さんと同じと考えた施術になりますので、はり灸はとても軽い施術になります。おなかに移植した胚盤胞が入っていない時が、しっかり施術できるチャンスです。次の生理を待って次の移植にチャレンジする方も、しばらくゆっくお休みしてからだづくりをしたいという方も、このタイミングでのより積極的な施術をおすすめします。

~私の場合~ ② 高度不妊治療 (2)移植

 ようやく長い採卵期間が終わり、手術も無事に終わり、手術後の生理が戻って、検査もクリアしました。ここまでで約2年、いよいよ移植となりました。移植が終わって、特に何かをしてはいけないということもなく、いつも通り、血流の良い生活を心がけて過ごしました。結果が出るのは、一週間後の病院の診察です。私の場合は、無事に妊娠・出産を迎えることができ、病院での不妊治療とはり灸でのからだづくりを頑張ってよかったと感じました。

【第1子】
1度目の移植:陽性 → 残念ながら心拍確認後に流産
2度目の移植:陽性 → 妊娠・無事に出産ができました

【第2子】
3度目の移植:陽性 → 化学流産
4度目の移植:陰性 
5度目の移植:陽性 → 妊娠・無事に出産ができました

【第3子・第4子】
6度目の移植:陰性
7度目の移植:陰性
8度目の移植:陽性 → 妊娠・無事に出産ができました

🌸 移植に向けた鍼灸 🌸
①体づくりに毎週1回の施術、
②移植の前(できれば当日、無理なら前日)をしていました。移植の前に鍼灸をすると、血流の良い状態で移植にのぞめます。
③漢方、プラセンタも継続していました

妊娠・出産ははじまりです

 無事に妊娠することができると、そこからは長い妊婦生活の始まりです。その長い妊婦生活が終わると、念願の赤ちゃんとの毎日の始まりです。かわいい赤ちゃんとの生活はとても幸せです。ですが同時に、実はとても大変な日々の始まりなのです。産後のまだ回復していないからだでの、3時間おきの授乳。朝・昼・夜・夜中と関係なく泣く赤ちゃんを、だっこして、授乳して、おむつを替えて、少し寝たかなと思うとまた泣きだして、まただっこして、授乳して・・の繰り返し。このとても幸せで、でも大変な日々を、元気に笑顔で過ごすためにも、健康なからだづくりは大切です。いままで妊娠するために頑張ってきたからだづくりは、あなたの子育ても支えてくれます。子育て中によくあるトラブルには、腰痛や、肩こり、手首の腱鞘炎、腕の痛み、寝不足など色々とありますが、そんな症状もはり灸でサポートすることができます。妊娠・出産後も、元気に笑顔で過ごせますように。